二年生のNです。

先日、一年生のAさんが、シカゴらしさについて触れてくれましたが、少し補足しつつ、それがよく現れているなと思う授業を一つ紹介したいと思います。

“Discipline-Based”を大きく支えているのは、教授陣がアカデミックな研究をしやすい環境、atmosphereが整っていることだと思います。多くの教授は、シカゴ大学の環境はお金には代え難いものだと口を揃えて言います。多少多く給料を提示されても絶対に他の大学には行かないと。ノーベル賞受賞者を過去にこんなにも多く輩出しているのにもこのことが関係しているのだと思います。現に今でも、ノーベル賞候補と言われている教授がたくさんいます(Fama, Thaler,etc)。私は、実際に研究をしている身ではないので、詳しくは分かりませんが、後ほど説明する授業でこの「環境」を垣間見ることができます。

“Discipline-Based”と”Flexible”に加えて、Chicago Boothの大きな特徴の一つとして、”Quant-based”があります。最初の二つについては、Aさんが細かく説明してくれているので、それをご参照いただければと思いますが、最後の一つについては、ここで簡単に説明させていただきます。シカゴは、何においてもまずは、”Quantitative Analysis” を重んじる傾向があります。まずは、科学的、合理的、定量的に説明できるかをしっかりと分析した上で、定性的な判断を加えていくというスタンスだと理解しています。例えば、3C、4Pを使い、定性的になりがちなMarketingでもできる限りDataを集めて分析をさせられます。Marketingの基礎の授業では、企業や市場分析を細かく分析し、現状を理解した上で、定性的な戦略を立てていくことの必要性を教え込まれます。応用の授業の多くは、Data-Driven MarketingやData-Miningのように大量なDataとRegressionなどを活用して、戦略を立てる方法を教えています。Consumer Behaviorという一見ソフトに聞こえる授業でもミクロ経済学を使って、人々の行動を計算・予測すると聞いています。

“Disciplined-Based”であるため、Chicago Boothでは、あまり特定の分野や産業に特化した授業は行いません。いろんな状況、分野、産業に適用、応用できるような基礎やフレームワークを教えていくというスタンスが強いからです。ただし、例外の授業もあります。例えば、今学期私が受講している「Sports Analytics」という授業。様々なスポーツのDataを分析しつつ、勝率の予想、チームの戦略、リーグの運営、シーズンのスケジュール作成等を考えていくという授業です。アメリカ人の好きそうな授業です笑。ただ、個人的には、この授業こそ「シカゴらしさ」が凝縮された授業だと感じています。他の大学でもSportsの授業が行われていますが、ほとんどは、Sports ManagementやStrategyのように定性的なものが多いと聞いています。Chicago Boothのスポーツへのアプローチはあくまでも”Quant-Based”です。毎週、データポイントが何百万、たまには何億という膨大なデータを扱い、MATLABを駆使して分析をさせられます。この授業は今学期初めて開講した授業なのですが、開講した理由を教授に伺うと以下のような回答が返ってきました:「みんなミクロ経済学、マクロ経済学、統計をたくさん習ってきているが、それを実際にどうやって使うかを教える機会が少ない。どう組み合わせていくのかを教えたい。Dataを使って戦略を立てるとき、どういう間違いを犯しやすいか、どのようにして仮説を立てればいいか、どうやって分析していけばいいかという考え方を教えたい。経済、金融や社会問題を取り上げながら、教えることもできるが、みんな興味をなくすに違いない。興味があり、楽しい分野を例に取りながら、実践で使える分析力の基礎を作ってほしい。ここで教えるやり方はスポーツに限らず、どの分野でも使えるものだ。」あくまでも”Discipline-Based”に基づく考え方だと思います。

さらに、この授業で興味深いのは、3人の教授によって行われていることです。週替わりのローテンション式で一人が教壇に立ち、残りの二人は、生徒と同じように授業を聞いています。ちなみに教授は豪華メンバー(Kevin Murphy, Toby Moskowitz, John Huinzinga)です。面白いのは、授業を聞いている教授2人が必ず質問をたくさんすることです。一人が自分の研究成果を教えていると、その一つ一つの仮説や分析について、細かい点を聞いたり、なぜそのようなアプローチを取ったのかを聞いたり、自分ならこのようにするがどう思うかと意見を聞いたりします。途中から3人の世界になることもありますが、普段このようにして教授間で議論が行われて、理論や研究が磨かれていくのだなと感じます。教室に入室してくる際も休み時間の間も教授たちはずっと議論しています。そして、議論する際、自分の意見を強く主張し、たまに喧嘩っぽくもなることもありますが、それが終わると笑いながら仲良く帰っていきます。この授業を受けているとツールやその使い方だけでなく、戦略の組み立て方、効果的な質問方法やプレゼン・回答方法、物事を疑う大切さ、自分で正しいと思うもの以外は信じないことの重要性などを学んでいる気がしています。

ちなみにこの授業の宿題は、一つで40時間〜50時間くらいかかります笑。Matlabが使えないともっとかかる可能性があります。最初の宿題は、私の場合、合計30ページになりましたが、教授の模範解答は70ページもありました。。。。シラバスには、毎週10時間以上commitできない人は取らないようにと書いてあります。ただサポート体制はしっかりしているので、やる気があればなんとかなります。毎週Review SessionをやってくれるTeaching Assistantも立派な方(CBAやHouston Rocketsで実際にAnalytic Basketballの戦略をやっていた人)ですし、教授たちもいつでも相談に乗ってくれます。

「MBA留学中にパーティではなく実際に勉強をする」のも「シカゴらしさ」かもしれません笑。

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