2年生のKSです。シカゴ大学は、教授陣のクオリティーの高さを一番の売りにしているだけあって、どの学期もコースが充実しているのですが、冬学期は4学期の中で最もコースが充実しているといわれています。(教授陣の多くが春から秋を研究期間に充てているため。)今期は、StartUp, Governance, Regression, Business Policy, M&A Accounting, International Econと、様々な分野を履修していますが、どれもテイクアウェイが多く、毎回授業が楽しみです。

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今までとった約20科目の中でも、Business Policyは、かなり異色の授業です。Business Policyという名前からは、コンプライアンスやガバナンスをイメージされるかもしれませんが、実際はPhilosophy in Career and Business といった感じの内容となっており、「リーダーとは何か」「成功とは何か」「個人や企業のゴールを何に設定するのか」といったテーマについて議論をしていきます。AccountingやFinanceなどと違って、答えのない世界の議論なので賛否両論ありますが、70人の定員(コースとしては1番多いレベルですが)に収まりきらず、毎回立ち見が出るほどの人気授業です。ファシリテーターを務める教授は、Deanも務めたHarry Davisで、彼はChicago Booth唯一の必修科目であるLEADの創設者でもあります。Deanとしての実際のリーダーシップや失敗経験などを直に聴けるのも、この科目の醍醐味です。

この授業が面白いのは、哲学めいたテーマながらも、”Analytic Thinking” ”Artistic Thinking” ”Pragmatic Thinking”という3つのフレームワークに基づいて、ディスカッションが進められる点です。通常のMBAの授業は、マーケティングモデルやバリュエーションなどAnalytic Skillsを土台にしたものが多いのですが、この授業で言う” Analytic Thinking”は、少し次元が異なり、リーダーの人格や企業文化についてまで言及されます。そして、人格や企業文化の捉え方は、我々生徒の価値観が強く反映されるため、しばしばコンフリクトを生みます。例えば、今日の授業では、Jobsの人格とAppleの企業行動についてディスカッションがありましたが、例えば彼のカリスマ性に主眼を置くか、彼がアスペルガーだった(とされる)ことに主眼を置くか、ではAppleという企業の捕らえ方が全く異なってくるため、1時間以上も議論が続きました。また、先週の課題では、ある企業のケースを呼んで、そこからコアコンピタンスを抽出して、高校生に説明する文章を書く、というものでしたが、10ページからなるケースのどの点に重要性を見出すか、そこからどのようなイメージを抽出し、ビジネスモデルとビジネスタームを全く知らない高校生にどのように説明するか、ということは、個々人の価値観や経験に左右される面も多く、企業や個人、そして自分自身の複雑性について理解する上で勉強になりました。

また、一方で”Artistic”ということに焦点が当てられているのも、この科目の特異な点です。”A whole new mind”などの影響もあり、日本でもDesign Thinkingなどが流行っていますが、この授業も、最新の心理学やハイフェッツなどの研究を踏まえてデザインされています。MBAでは、直感的に何かを思い浮かんだり、感じたり、それをビジネスモデルに落とし込んだりするようなプロセスは、通常はレーニングされません。しかし、この授業では、ビジネスケースを読んでイメージを抽出したり、小説からビジネスへの示唆とその具体例を抽出したり、教授がいきなり30分近く黙ってしまったり、と様々な演出で、Artistic skillを身につけるようにデザインされています。ちょっと自己啓発っぽいテーマでもありますが、そのロジックも含めて深堀ができるため、非常に面白いです。例えば、Story Tellingの回では、レーガン元大統領やビジネスリーダーなどのスピーチを見ながら、如何にScienceとPersonal Storyが組み合わせられ、それがどのように聴衆に訴求され、信頼や支持の獲得につながっていくのか、ということを学びました。ストーリーやプレゼンスキルの重要性は認識していても、ここまでじっくりと観察する機会はなかったため、自分がストーリーを語る上での新しい視点を得られました。

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勿論、ここでディスカッションされる内容には答えはないですし、また10週間で身に着付けられるほど単純なものではありません。しかし、授業が終わった後も、何ともいえない余韻が残ります。整理しきれずにストレスを感じることもしばしばですが、クラスメートとディスカッションしたり、一人で考えたり、授業中のディスカッションを思い出したりする内に、自分なりの答えが浮かんだりする瞬間は、やはりこの授業を取ってよかったと思います。また、毎週一冊のペースで本がアサインされ、non-nativeにはキツイですが、課題本やケースのセレクションも絶妙で、この機会にしっかりと読むことができて良かったです。

2年前にLEADに参加した時は、初めての海外大学院生活に戸惑うことが多かったですが、Business Policyでは、日本人として、クラスに貢献できることも少なくなく、2年間の成長を感じられるという意味でも受講して良かったです。

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